高齢者になると耳が遠くなるのはなぜ?原因とコミュニケーションのポイント
更新日:2023/08/30
高齢者とコミュニケーションを取る際に、大きい声で話しても聞き取ってもらえず困ったことはありませんか?なぜ高齢者になると耳が遠くなるのでしょうか。この記事では、原因となっている疾患や対策、高齢者とのコミュニケーションのポイントについて説明していきます。
この記事はこんな方にオススメです。
・高齢者とのコミュニケーションに悩んでいる方
・最近耳が遠くなったとお困りの方
目次
耳が遠くなる原因
高齢者になると耳が遠くなる原因として、加齢に伴い、音の聞こえが悪くなる難聴になることがあります。難聴には種類がありますが、一般的に高齢になり耳が遠くなるのは、老人性難聴(加齢性難聴)という疾患が原因である可能性が高いです。
難聴の種類
伝音性難聴
音を取り込む外耳から中耳の障害が原因で聞こえにくくなります。外耳では耳垢、中耳では中耳炎などが主な原因です。
感音性難聴
音を感じる機能である内耳から脳にかけて障害があり難聴となります。老人性難聴やメニエール病などが原因です。
混合難聴
伝音性難聴と感音性難聴の両方が混在する難聴です。
老人性難聴の特徴
老人性難聴とは、加齢により音を電気信号に変える内耳の感覚細胞が減少していき、音が聞こえにくくなる病気です。症状には、以下のような特徴があります。
- 高音域から聞き取りにくくなり、しだいに中音域・低音域へと拡大する
- 加齢に伴い進行する
- 原則として左右対称に進行する
- 単純な音に比べて、話し声が聞き取りにくくなる
- 男性のほうが低下しやすい
加齢により老人性難聴になる方の割合は、年を重ねるにつれ増えていきます。以下のデータから、75歳を超えると6割以上の高齢者が難聴になっていることが分かります。
- 65歳以上 28~44%
- 70歳以上 42~51%
- 75歳以上 67~71%
- 80歳以上 73~84%
残念ながら、失われた感覚細胞は元には戻らず、薬などで治すことはできません。
しかし、補聴器を使用することで聞こえづらさを解消できます。補聴器の値段は、10万円前後のものから30万円以上のものまで、機能によって異なります。最初は聞こえなくなっていた音がいきなり聞こえるようになり、うるさく感じることがありますが、数カ月使い続けることで脳が音に慣れていきます。
聴力低下に伴うリスク
聴力が低下し、音が聞こえづらくなることで、以下のようなリスクが生じます。
相手との会話に不便さを感じる
相手の言っていることが分からず、会話が成立しなくなり、人とコミュニケーションをとるのが億劫になる可能性があります。
孤独が促進される
会話の機会が減る、テレビを見ていても何を言っているか分からなくなるなどし、孤独感が強くなり内向的な性格になることがあります。
認知症の発症リスクが高くなる
耳が遠くなり、脳への刺激が減ることで認知機能が低下する可能性があります。
介護に不満を抱くことがある
介護者が説明したことが聞き取れないと、いきなりケアされたと感じ、不快感を感じることがあります。
コミュニケーションの取り方
耳が聞こえにくい高齢者とコミュニケーションを取る際には、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。いくつかのポイントを挙げました。
これから話すことを認識してもらう
いきなり話し始めても気づいてもらえないことがあります。相手の視界に入り、名前を呼ぶなどし、注意を引いてから話し始めるようにしましょう。
ゆっくり・はっきり・低めの声で話す
早口の言葉や小さい声や大きすぎる声は聞き取りにくいです。滑舌よく少し大きめの声で話しましょう。また、高い声より低い声を意識する、単語で区切って理解しやすいように話すことも大切です。
ジェスチャーや筆談を交える
聴覚だけでなく視覚的に理解できるよう、身振り手振りや書いて伝えることも効果的です。相手に口元や表情が見えるようにすると、より伝わりやすいでしょう。
まとめ
今回は老人性難聴に焦点を当てて、症状の特徴やコミュニケーションの取り方について述べました。しかし、耳が遠くなる原因には他の疾患が関係していることもあります。気になり始めたら、早めに医師の診察を受け、原因を調べることが大切です。
老人性難聴は、加齢に伴う疾患です。「高齢だから仕方ない」と何も対策をしないでいると、様々なリスクがあります。補聴器の使用を検討する、周囲の人が接し方を工夫するなどし、高齢になってもコミュニケーションを楽しみ、充実した生活が送れるよう考えていきましょう。