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夏なのに厚着!?暑いのに寒がる高齢者、その原因と対策

更新日:2023/08/18

「猛暑日に厚着・マスクをして外を歩いている高齢者を見て心配になった」
「高齢の家族が、夏なのに暑くないからとエアコンをつけてくれない」
「介護施設で働いているのだが、真夏でも利用者が寒いからと厚着したがる」
あなたにはこのような経験はありませんか?夏は特に熱中症にならないか心配になりますよね。
この記事では、高齢者が夏なのに寒がる理由と対策についてお話します。

この記事はこんな方にオススメです。

・ご家族に高齢者がいらっしゃる方
・高齢者の熱中症対策について知りたい方
・介護施設で働いている方

高齢者が夏なのに寒がる理由

高齢になると、様々な体の機能に変化が生じます。高齢者が夏でも暑さを感じにくく寒がる原因には、以下のようなことがあります。

体温調節機能の低下

加齢に伴い皮膚感覚が低下し、外から加わる刺激に対する反応が鈍くなります。そのため、暑さ・寒さを感じにくくなり、環境への適応力が低下します。また、体温調節中枢の機能も低下するため、発汗を促すべき自律神経への指令が遅れることがあります。

筋肉量の低下

筋肉は熱を生み出し、体温を調節する役割も担っているため、筋力が落ちることにより基礎代謝量が低下し、体温を調節しにくくなります。

自律神経の働きの低下

加齢や認知症の進行により、自律神経の働きが鈍くなることがあります。自律神経は体温調節をはじめ様々な働きをしているため、機能の低下により寒さを感じやすくなります。

見当識障害・判断力の低下

認知症の進行により、見当識障害や判断力障害が起こり、暑さや寒さに対して正しい判断ができなくなることがあります。

これらの原因から、家族や介護者とは暑さへの感じ方が異なり鈍くなっている可能性があります。気温や湿度の変化に気づかず、脱水症状や熱中症を引き起こすことがありますので、対応が必要です。

高齢者の熱中症対策

それでは、暑さを感じにくい高齢者の熱中症や脱水症状を予防するには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。対策を挙げました。

気温を確認できるようにする

温度計や湿度計を置くことで、高齢者が体感だけでなく、視覚的に気温の高さを確認できるようにしましょう。

水分補給を促す

喉の渇きや暑さを感じないことで、水分補給が疎かになっている可能性があります。こまめに水分や塩分を補給してもらえるように、声掛けをしていきましょう。

エアコンの調整をする

室内での熱中症が増えています。エアコンを切ることはなるべく避け、エアコンの風が直接当たらないように、隣の部屋のエアコンを使用する、風よけカバーを取り付けるなどの対策をしましょう。また、室温が低くなりすぎないように設定温度の調整も行ってください。

薄手の衣類を身に付けてもらう

寒さを感じ長袖を着たがる高齢者もいると思います。熱がこもらない、薄手でゆったりとした衣類を選ぶようにしましょう。

適度な運動を勧める

軽めの運動をすることで、自律神経の働きを活発にし発汗を促せますし、筋力の低下予防につながります。

まとめ

高齢者が夏でも寒さを感じる理由には、体の変化が大きく影響しています。心配だからとはいえ、家族や介護者が一方的に水分摂取させる、服装を指定するなどすると、高齢者にストレスを与えたり、プライドを傷つけたりしてしまいます。

日頃からコミュニケーションを取り信頼関係を築き、相手に心配しているからやっているのだと伝えることが大切です。原因をしっかり理解した上で、高齢者本人と脱水症状や熱中症のリスクを共有し、適切な対策をしていきましょう。

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