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認知症のお金トラブルは制度に頼る

更新日:2022/10/27

認知症になると、金銭の出し入れや財産管理が難しくなるため、悪徳商法や詐欺の被害に遭いやすくなり、「物盗られ妄想」も起きることがあります。また、身体が不自由になると金融機関やATM などに出向くのも難しくなってしまいます。家族が担うにしても、離れて住んでいると困難ですし、同居の場合でも煩雑なうえに金銭・権利が伴うことなので、トラブルも発生しやすくなります。

そんなときに利用できるのが、下記の制度です。

①日常生活自立支援事業
②成年後見制度
③資産承継信託(家族信託)

それぞれ、メリット・デメリットがありますので、よく検討して自分たちに合ったものを選びましょう。財産管理については、認知症になる前に、本人の意向をもとに決めておくことが望ましいです。

各制度のあらまし

①日常生活自立支援事業

生活とお金をまもるために、社会福祉協議会が手伝う制度です。お金の使い方や支払い、書類の書き方やお金の管理などで困っている人が使えます。地元の社会福祉協議会で受け付けています。

日常生活自立支援事業でやってくれること

❶どんな福祉サービスが使えるか、使う時の手続きなどを教えてくれる
❷役所に出す書類の書き方や家賃・水道代などの払い方を教えてくれる
❸次の年金が入るまでの上手なお金の使い方を教えてくれる
❹通帳などを安全に預かってくれる

②成年後見制度

認知症などで判断能力が不十分になり、契約締結や財産管理を行えない人を守るための制度で、「法定後見」と「任意後見」の2 つに分けられます。家庭裁判所に申立てが必要で「成年後見人」は家庭裁判所が選任します。

法定後見 すでに判断能力が不十分な場合に、家庭裁判所に選任された後見人等が財産を管理するもの
任意後見 本人の判断能力があるうちに、将来への備えとして後見人等となる人を自ら事前に決めておくもの

成年後見制度でできること

  • 不動産や預貯金等の財産を管理する。このため、身近な人等による財産の使い込みや経済的な破綻を防ぐことができる
  • 不必要な契約をした場合には取り消すことができる
  • 介護などのサービスや施設への入所に関する契約等の生活に必要な契約を代理できる
  • 相続に関する権利等が発生した時には、権利の行使を代理できる(遺産分割協議の代理等)

成年後見人が必要なとき

  • 入退院の手続きや医療や介護サービスの契約ができない
  • 生活のお金の預貯金管理ができない
  • 振り込め詐欺や悪質セールスに騙され、解約もできない
  • 遺産分割協議や相続手続きが必要だけどできない

成年後見人ができないこと

  • 手術や治療に同意する
  • 本人の保証人や身元引受人になる
  • 介護や付き添いをする
  • 財産の運用をする
  • 葬儀費用の捻出をする
〈成年後見人の相談窓口〉
市区町村の社会福祉協議会、市区町村の弁護士、司法書士、行政書士等の無料相談、弁護士、司法書士、行政書士、信託銀行等

③資産承継信託(家族信託)

自分の資産を子どもなど信頼できる家族に管理・処分してもらう、財産管理方法のひとつです。

本人(委託者)と、家族(受託者)の間で信託契約を行い、本人の財産(信託財産)を受託者である家族に管理してもらうというものです。家族信託は遺言と違い、本人が生きているうちから利用することができ、その中で発生した収益は、本人に受け取る権利があります。また、財産の管理や処分について指図をする権利(監視・監督権)も本人にあります。

新しい制度で、本人が元気なうちに、その意向に沿って資産運用や活用、処分などの方針を定めることができ、財産管理の担い手である家族は、定められた内容に沿って柔軟な財産管理を行うことが可能です。家庭裁判所に対する報告事務も特になく、比較的利用しやすい点がメリットです。

〈資産承継信託(家族信託)の相談窓口〉
市区町村の無料相談や弁護士、司法書士、行政書士、信託銀行、不動産会社等

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