訪問介護とはどんな介護サービス?わかりやすく説明します。
更新日:2023/08/10
訪問介護とはどのような人が利用することができ、どのような介護サービスが提供されているのか。できること・できないこと、利用条件や料金など、訪問介護の利用を検討されている方や、介護サービスの利用が初めての方に向けて、簡単にわかりやすく説明します。
この記事はこんな方にオススメです。
・訪問介護の利用を検討されている方
・自宅での生活を続けたい方
・介護サービスの選択に迷っている方
目次
訪問介護とは?
訪問介護とは、介護が必要な利用者が自宅での生活を続けていくことができるように、必要なサポートをする介護サービスです。訪問介護には大きく分けて身体介護と生活援助の2種類のサービスがあります。
身体介護
身体介護とは、主に利用者の体に直接触れて行うサービスで、以下のような介護が当てはまります。
食事介助 | 摂食の介助、見守りなど |
清潔面の援助 | 入浴、清拭、更衣、洗髪など |
排せつ介助 | トイレ介助、おむつ交換など |
移動介助 | 移動・移乗、外出介助など |
IADL(手段的日常生活動作:家事、買い物、食事の準備など日常生活における動作のこと)やQOL(生活の質)の向上に向けての見守り援助も、身体介護になります。
生活援助
生活援助とは、利用者がご家族が生活する中で家事を行うのが困難な場合、日常生活を援助するサービスです。以下のような家事が当てはまります。
掃除 | 家の中を掃除する |
調理 | 献立を考え、買い出しから調理、片付けまで行う |
買い物 | 生活用品の買い出しの代行(利用者と一緒に行くこともあり) |
洗濯 | 洗濯から収納まで行う |
ゴミ出し | 収集日に合わせてゴミ出しをする |
薬の受け取り | 病院や薬局への薬の受け取りの代行 |
生活援助は、利用者本人の日常生活を援助するものです。そのため以下の行為などは、訪問介護では受けられないので注意が必要です。
- 利用者以外のご家族に関わる家事や留守番
- ペットの世話
- 庭の草取り
- 窓のガラス拭き など
どんな人が利用できるのか
訪問介護を利用できる方は、要介護1~5の認定を受けており、ご自宅で生活している方です。まだ要介護認定を受けていない場合は、お住いの地域包括支援センターに相談、または役所の高齢者福祉窓口に申請を行いましょう。
訪問介護サービスを受けられる回数に制限はありませんが、1日に2回以上の訪問介護サービスを利用する場合は、原則としてサービスの時間間隔を2時間以上空ける必要があります。間隔が2時間以上空いていなかった場合、2つのサービスを一度のサービスと見なされてしまう「2時間ルール」という規定があります。
また、サービスを受けることができる時間帯(夜間や土日祝日など)については事業所ごとに異なるため、個別に確認しましょう。
要支援1・要支援2の方は、「介護予防訪問介護」としてサービスを利用することが可能です。要支援1の方は週2回まで、要支援2の方は週3回までと利用回数の制限があります。
費用について
訪問介護における料金の目安をご紹介します。深夜や早朝など割増しになる場合もあります。
自己負担額(1割負担・要介護1~5の場合)
サービスの種類 | 時間 | 自己負担額 | 単位数 |
身体介護 | 20分未満 | 167円 | 167単位 |
20分以上30分未満 | 250円 | 250単位 | |
30分以上1時間未満 | 396円 | 396単位 | |
1時間以上 | 579円 | 579単位 ※30分増すごとに+84単位 | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 183円 | 183単位 |
45分以上 | 225円 | 225単位 | |
通院時の乗車・降車等介助 | 1回 | 99円 | 99単位 |
訪問介護は介護保険の「居宅サービス」に該当し、居宅サービスには「区分支給限度額」という自己負担額の限度額が定められています。それを超えてしまうと全額自己負担となってしまいますので、利用する介護サービス・頻度などは利用者の意向を考慮しながら、ケアマネジャーと共に話し合い決めていきましょう。
訪問介護のメリットとデメリット
訪問介護を利用する際のメリット・デメリットを挙げてみました。
【メリット】
- 住み慣れた自宅でサービスを受けられる
- 必要な内容・時間のサービスを受けられる
- ご家族の介護負担を軽減できる
【デメリット】
- 他人を家に入れる必要がある
- 訪問介護員と相性が合わない可能性がある
訪問介護は、施設やデイサービスとは異なり、利用者の生活環境で介護を受けることができます。それ故に、洗濯物の干し方、料理の好みなど利用者のこれまでの生活を尊重してケアをしてくれる訪問介護員でないと、利用者がストレスを感じてしまいます。
その場合は、事業所に訪問介護員の変更を依頼する、別の事業所に変更する、ケアマネージャーに相談するなどの対応をしていきましょう。
これらのメリット・デメリットを考慮し、利用者が安心して自宅での生活を続けられる選択をすることが大切です。
実際に利用するまでの流れ
要介護認定を受けていない方、訪問介護の利用を検討されている方が、実際に利用するまでの流れの一例を説明します。
①要介護認定の申請 | まだ要介護認定を受けていない方は、お住まいの市区町村の担当窓口に要介護認定申請書を提出する |
②認定調査・主治医の意見書の作成 | 認定審査員がご自宅を訪問し調査を行い、その後主治医に意見書の作成が依頼される |
③介護認定調査会で審査・判定 | 介護を必要とする度合いが審査・判定される |
④判定結果の通知 | 申請から1ヶ月ほどで結果が通知される |
⑤ケアマネジャーの決定 | 要介護1以上の場合は地域包括支援センターやかかりつけ医の紹介などから、ケアマネジャーを決める |
⑥ケアプランの作成 | ケアマネジャーが自宅に訪問し面談を行い、ケアプランを作成する |
⑦事業者の選定と契約 | 実際にサービスを受ける訪問介護事業所を選び、契約を結ぶ |
⑧訪問介護サービス利用開始 | サービスの利用開始となる |
多くの高齢者は、「住み慣れた自宅での生活を続けたい」という思いを持っています。その気持ちに応えることができるのが、訪問介護サービスです。利用を検討されている方は、まず地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談しながら、より良いサービスが受けられるような選択をしていきましょう。