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「おいしさ」にこだわるキユーピーの介護食

更新日:2022/07/26

キユーピーの介護⾷は栄養素や⾷べやすさは当然のこと、「味」にこだわって⾷品を開 発してきました。「いつまでもおいしく」⾷べることのできる商品について、今回はそ の開発過程や、⼈気メニューなどを詳しく伺いました。

この記事はこんな方にオススメです。

・安心・安全なサービスを受けたい方
・介護食のメニュー作りに困っている方
・とにかくおいしい食品が食べたい方

■本記事の取材先

キユーピー株式会社

1919年創業。1925年に日本初のマヨネーズ「キユーピー マヨネーズ」を発売し、その後もドレッシングやミートソース缶詰など、日本初の商品を発売。市販用市場においてマヨネーズとドレッシングはトップシェア。ベビーフードから介護食までを取り扱う幅広い商品群と、内食から中食・外食までの幅広い展開がキユーピーグループの特徴。

マヨネーズやベビーフードなどのイメージが強いキユーピーですが、どのように して介護⾷の開発を⾏ったのですか︖

キユーピーには病院や施設用の商品を取り扱うジャネフというブランドがあり、以前より医療事業との接点を持っておりました。当時、ジャネフの開発担当者が「口から食べる喜びを諦めたくない。そんな商品ができないか。」と考える中で、「咀しゃく、嚥下困難になった方の食事を作ろう」と決めたことから介護食の開発が始まりました。

開発にはこれまで培ってきたベビーフードの品質管理のノウハウや、取り扱いに慣れている原料を用いたのですが、主食と主菜、副菜の 組み合わせなどを加味していかに栄養バランスを保つか、といったように、お客様によ りおいしく召し上がっていただくために試⾏錯誤を重ねてきました。

こうした開発期間を経て誕⽣したキユーピーの介護⾷は、⽇本介護⾷品協議会が「UDF(ユニバーサルデザインフード)」と定めた⾷品として、現在国内のシェア率の半分以上を獲得しております。
お客様からはお褒めのお⾔葉をたくさんいただいておりますが、なかには「他の介護⾷は⼀切⼝にしなかったけれど、キユーピーのやわらか⾷だけは進んで⾷べている」というお話をいただいたり、「余命わずかと宣告されたものの、キユーピーのやさしい献立を食べるようになってから復調し、担当医も⾮常に驚いている」といったお⼿紙を頂戴したこともあり、従業員⼀同、より⼀層⾝の引き締まる思いでございます。

「UDF(ユニバーサルデザインフード)」についてのお話がありましたが、⾷品によって硬さの区分分けをお こなっているのでしょうか︖

UDF(ユニバーサルデザインフード)には次のような区分がございます。
・具材の形を残し、スプーンなどでかんたんにつぶせるやわらかさの「容易にかめる」シリーズ。
・適度な⼤きさの具材を⻭ぐきでつぶせるくらいにやわらかくして、とろみをつけた「⻭ぐきでつぶせる」シリーズ。
・細かな具材を⾆でつぶせるくらいにやわらかくした「⾆でつぶせる」シリーズ。
・素材の⾵味をいかしたなめらかな⾷感をもつペースト状の「かまなくてよい」シリーズ。
そのほかにも、⽔やお茶が飲みづらい⽅のための「とろみ調整」⾷品もございますので、療養者の⽅のお好みに合わせて選んでいただいたり、医療関係者の⽅や介護者の⽅などと相談しながら選べるラインナップとなっております。

⼈気の商品はどのようなものですか︖

主⾷としての「おじや親⼦丼⾵」や「やわらかごはん」、またはそれ以上にやわらか い「なめらかごはん」などがご好評をいただいております。
おかずでは「鶏だんごの野菜煮込み」がヘルシーかつタンパク質も摂取できるので⼤ ⼈気商品のひとつとなっております。そのほかにも「すき焼き」や「⾁じゃが」、「海 ⽼と⾙柱のクリーム煮」など、⼈気メニューを多数取り揃えております。  どの⾷品も「⾃分の家族に⾃信をもって出せる」⾷品づくりを⼼がけておりますの で、療養者の⽅のみならず、ご家族の⽅々や医療関係者の⽅々にも召し上がっていただ
きたいと思っております。

 

 

介護者の⽅や療養者の⽅にメッセージはありますか︖

介護⾷というと、もしかしたらネガティブなイメージをお持ちではないでしょうか。私⾃⾝、介護⾷を店舗で購⼊する際などに、店員さんから透明なビニール袋ではなく⾊のついた袋に商品を⼊れて渡された経験があるのですが、このように周囲のひとにあまり知られたくないといったネガティブなイメージが、現状としてつきまとっているのかもしれません。しかし私たちは介護⾷をもっと多くの⽅に、ポジティブなイメージをもって知ってもらいたいと思っております。皆さまにおいしく召し上がっていただくことで、キユーピーは今後も介護の味⽅であり続けたいと思っております。

 

■編集後記

「食事」において、いったい自分は何を重視しているのだろう。改めて考えてみました。エネルギー? バランス? こういった身体の健康に繋がるものは、大前提として捉えているのかあまり意識にのぼらず、それよりも味であったり、誰と食べるかといった副次的な要素を重要視していたように思います。キユーピーさんの「おいしさ」にこだわった食品づくりは、単なる栄養接種に留まらず、こうした食べる喜びにも繋がるように計算されて開発されているのでしょう。食べることは生きること。そこに喜びを見出せるような食品ゆえに、長年愛されているのだと思いました。

執筆者:リブライフ編集部

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