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生活不活発病とは?症状や予防について解説します

更新日:2023/09/22

日常生活で動かないことが続くと、心身の機能が低下し、「生活不活発病」を引き起こすリスクがあります。生活不活発病は廃用症候群とも呼ばれ、その原因は、脳卒中による後遺症、災害による避難所生活など様々です。この記事では、生活不活発病の予防や症状について説明します。

この記事はこんな方にオススメです。

・生活不活発病について知りたい方
・ご家族に高齢者がいる方

生活不活発病とは

生活不活発病とは、生活が不活発な状態が続くことにより起こる心身機能の低下を総称したものです。廃用症候群と呼ばれることもあります。生活不活発病になると、機能低下によりますます動けなくなる悪循環に陥ります。

重度になると、寝たきり状態になるリスクがあります。介護予防の視点からみると、生活不活発病にならないようにすることが極めて重要であるといえるのです。

生活不活発病になる原因

どのようなことがきっかけで生活不活発病になるのか、原因についてまとめました。

社会参加の機会が減った

退職、家族との同居により知らない土地へ転居、親しい友人との別れ、災害による避難所生活、コロナ禍による行動制限などにより、社会活動の機会や、やることがなくなってしまいます。

病気などにより動きにくくなった

脳卒中による片麻痺、骨折、足の痛みなどにより、生活動作がやりにくくなり、動く機会が減ってしまいます。また、病気の後に安静にしなければならないと、必要以上に行動を抑制してしまうこともあります。

周りに遠慮してしまう

家族が本人の体を心配して家事や外出を制限する、本人が周囲の目を気にして外出を遠慮するなどし、引きこもりがちになり動くことが減ります。

生活不活発病の症状

生活不活発病の主な症状には、どのようなものがあるのでしょうか。以下に挙げました。

  • 筋肉の萎縮

筋肉を使った活動が減り、筋線維が細くなります。立ち上がる、歩くなどの動作が難しくなっていきます。

  • 関節の拘縮

関節の動きが制限され、手足の曲げ伸ばしがしづらくなります。

  • 消化機能の低下

食欲がなくなる、便秘や便尿失禁を起こすことがあります。

 

  • 起立性低血圧

急に立ち上がると脳に行く血液が不足し、立ちくらみを起こします。

  • 静脈血栓症

静脈に血の塊ができ詰まってしまいます。下肢に生じやすいです。

  • 骨粗鬆症

骨密度が減少し、骨折しやすくなります。

  • 心肺機能の低下

疲れやすくなり、すぐ息切れします。

  • 褥瘡(じょくそう)

骨が出っ張った部位や仙骨部など、体の一部が圧迫され続けることで壊死します。定期的に体の向きや姿勢を変えるようにしましょう。

  • 意欲低下

物事に対する関心や気力がなくなり、思考や感覚器官の働きが鈍くなります。うつ状態になることもあります。

生活不活発病の予防

1日間の安静により生じた機能低下を回復させるには1週間、1週間の安静では回復に1ヶ月必要だといわれており、1度動かなくなった体を元に戻すには、時間がかかります。まずは生活不活発病予防することが大切です。以下にポイントをまとめました。

行動範囲を広げる

毎日の生活の中で動く範囲を広げましょう。自宅内でも動く機会を作ることができます。

  • 横になりっぱなしではなく座る時間を増やす
  • 掃除などの家事で体を動かす
  • 清拭ではなく入浴するようにする
  • 毎日洗面所で整容する など

杖や歩行器などを使用する

歩きにくくなっても、すぐに車いすを使うのではなく、杖や歩行器を使い、歩けるように工夫しましょう。手すりの設置もご検討ください。

社会参加の機会を増やす

地域の老人クラブや奉仕活動、趣味、ボランティア活動などに参加し、人と交流する機会を作ることで、外出するきっかけとなりますし、やりがいや楽しみを感じながら活動できます。

体操やウォーキングなどで筋力強化する

歩くことは全身運動になり、有酸素運動により心臓や呼吸器も働きます。体に痛みがあるから全く動かさないのではなく、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。医師に相談しながら、リハビリや体操を行ってみましょう。

まとめ

生活不活発病を引き起こすと、さらに体を動かさなくなり、負のスパイラルに陥ります。まずは生活不活発病を予防すること、生活不活発病になったとしてもいち早く気づき対策をし、悪循環を断ち切ることが大切です。

高齢になっても健康な生活を続けられるよう、日々の中で楽しみや役割を見つけ、積極的な行動を心がけていきましょう。

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