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特別養護老人ホームとはどんなところ?

更新日:2023/08/09

特別養護老人ホームにはどのような人が入居することができ、どのような介護サービスが提供されているのか。入居条件や費用、空き状況はどうかなど、特別養護老人ホームの利用を検討されている方や、介護サービスの利用が初めての方に向けて、わかりやすく説明します。

この記事はこんな方にオススメです。

・特別養護老人ホームの利用を検討されている方
・介護サービスの選択に迷っている方

特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設とも呼ばれ、自宅での生活や介護が困難になった要介護状態の高齢者が入所する介護保険施設の一つです。原則要介護3以上の方から入所可能で、主に社会福祉法人や地方自治体によって運営される公的施設なため、有料老人ホームなどの民間の施設に比べ、比較的料金が安いことから人気が高くなっています。申し込んでも数年待ちといったケースも多く、一旦他の介護施設に入居し、空きが出るのを待つ方もいらっしゃいます。

特別養護老人ホームには、以下のような種類や居室タイプがあります。

【特別養護老人ホームの種類】

種類 入居定員 申し込みできる人
広域型 30人以上 どこに住んでいても入所申し込みが可能
地域密着型 29人以下 施設が所在する市区町村に住民票がある人が申し込み可能

【居室タイプ】

居室タイプ 特徴
従来型多床室 4人部屋中心
従来型個室 従来型のケアを行っていても個室を設けている施設がある
ユニット型個室的多床室 大部屋だった居室を簡易的な壁で仕切って個室のようにしている
ユニット型個室 9~10人程度のユニットで、共用リビングが各個室の真ん中に共用リビングがある

【1ヶ月の料金一例】

居室 居住費 食費 介護サービス費 合計
ユニット型個室 6万円 4万円 3万円 13万円程度
従来型の多床室 2万円台 4万円 3万円 8万円~9万円程度

特別養護老人ホームの費用のほとんどが介護保険の適用内ですが、日々の食費や理美容費、レクリエーションにかかる実費などは介護保険の適用外となり、別途料金がかかります。ユニット型は、従来型に比べプライバシーが保たれやすいというメリットがある一方で、月額利用料は4~5万円高くなります。本人や家族の意向に合わせた居室タイプを選んでいきましょう。

似た名前の施設として、介護老人保健施設(老健)がありますが、老健は自宅の生活への復帰を目指して医療ケアやリハビリを行う施設で、3ヶ月ごとに退所が検討されます。それに比べて特別養護老人ホームは、基本的に終身入所が可能なため、安心して長く住み続けることができます。

どんな人が入居できるのか

特別養護老人ホームに入所できる方の主な条件は、以下の方です。

  • 65歳以上で要介護3〜5の方
  • 特例により入所が認められた要介護1〜2の方
  • 地域密着型の場合、施設が所在する市区町村に住民票がある人

その他の条件として、特定疾病のある要介護3以上の方であれば年齢40~64歳でも入所可能などがあります。

特別養護老人ホームの場合、申し込み順に入所できるのではなく、施設で開催されている入所選考会議にて、介護度が重い、緊急性があるなど入所が最も必要とされる方から早く入所できるようになっています。

サービス内容と1日の流れ

主に提供される介護サービスは、食事・入浴・排せつの介助や生活援助、健康管理、リハビリテーション、レクリエーションなどで、終身にわたり入居できるように多くの施設が看取りに対応しています。入所者1名に対し、3名の職員の配置が義務付けられており、介護職員は24時間常駐、看護師は日中常駐しています。

次に、特別養護老人ホームの一日の流れの一例をご紹介します。

【一例】

7:00 起床、整容 洗面、排せつ介助、日常着に着替える
7:30 朝食、服薬、口腔ケア 食後は服薬、口腔ケアを実施する
9:00 入浴 週に2日以上入浴する(施設により機械浴、個浴などがある)
12:00 昼食、服薬、口腔ケア 利用者の嚥下能力に合わせてきざみ食、ソフト食などが提供される
13:00 レクリエーション お散歩や趣味活動などをする
15:00 おやつ おやつを食べる
18:00 夕食、服薬、口腔ケア 栄養管理された食事を楽しむ
20:00 帰室、就寝 パジャマに更衣し就寝する

介護度の高い利用者が多いため、きざみ食やソフト食など嚥下能力に合わせた飲み込みやすい食事の提供がされたり、機械浴、個浴など入浴設備が充実したりしている施設もあります。また、日中だけでなく、夜間も介護職員が常駐しているため、排せつ介助や何かあった際にもケアを受けることができますので、安心して日々を過ごすことができるでしょう。

特別養護老人ホームのメリットとデメリット

特別養護老人ホームに入居する際のメリット・デメリットを挙げてみました。

【メリット】

  • 費用が安く済む
  • 入居一時金や敷金などの初期費用がかからない
  • 24時間介護が受けられる
  • 原則終身入所でき、多くの施設が看取りに対応している

【デメリット】

  • 原則要介護3以上という入所条件がある
  • 入所まで時間がかかることが多い
  • 医療体制が十分でない場合がある

公的施設のため、比較的料金が安く、おむつ代も介護サービス費に含まれています。介護に適した設備があり、介護職員から専門的な介護を受けられる環境で長く住み続けることができることが魅力だといえます。ただ、夜間は看護師の配置義務がないため、夜間のたん吸引などの医療ケアが必要な方は、受け入れができない場合や退去を求められる場合もあります。

これらのメリット・デメリットをよく考慮し、利用者本人や家族のニーズに合った選択をすることが大切です。

実際に入居するまでの流れ

特別養護老人ホームへの入居を検討されている方が、実際に入居するまでの流れの一例を説明します。

①お問い合わせ 施設に問い合わせや資料請求をする
②見学 施設の設備や居室などを見学し、希望に合う施設を見つける
③お申し込み 入所したい施設を決めたら、申し込みをする
④審査 申し込み対象者が入所できるかどうか判断される
⑤優先順位通知が届く 施設ごとの判定基準により、入所優先度を順位付けした通知が届く
⑥面談 入所候補者になると施設側との面談が行われる
⑦入所 入所の可否決定後、日程調整し入所となる

特別養護老人ホームは人気の高い施設です。申し込み数には特に制限がないため、複数の施設へ申し込みをしたり、多床室より費用が高いユニット型個室を選択したりすることで、早く入所できる機会が広がるかもしれません。

しかし特別養護老人ホームは、利用者が終身まで過ごす可能性が高い施設ですので、早期の入所だけに気を取られ、「利用者が安心して最期まで過ごすことができるか」というポイントが疎かにならないように、入所を検討していくことが重要です。

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