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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とはどんな施設?わかりやすく説明します。

更新日:2023/08/28

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)には、どのような人が入居でき、どんなサービスが提供されているのか。入居条件や費用、メリット・デメリットなど、簡単にわかりやすく説明します。

この記事はこんな方にオススメです。

・サ高住への入居を検討している方
・老後の暮らしについて考えたい方

サービス付き高齢者向け住宅とは?

サービス付き高齢者向け住宅とは、状況把握(安否確認)や生活相談サービスを受けることができる、バリアフリー対応の賃貸住宅です。一般的に食事の提供や、洗濯や掃除の家事援助は、オプションで利用し、介護保険サービスは、入居者が外部の事業者と別途契約して利用することができます。

サービス付き高齢者向け住宅の登録基準

サービス付き高齢者向け住宅には、登録基準が設けられています。

規模 原則1戸当たりの床面積が25㎡以上
※居間、食堂、台所そのほかの住宅の部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合は18㎡ 以上
設備・構造
  • 原則各戸に台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室が設置されていること
  • バリアフリー構造になっていること
サービス ケアの専門家(医師、看護師、介護福祉士など)が少なくとも日中建物に常駐し、状況把握サービスと生活相談サービスを提供すること
契約
  • 書面による契約であること
  • 居住部分が明示されていること
  • 長期入院などを理由に事業者から一方的に解約はできない
  • 受領できる金銭は、敷金、家賃・サービスの対価のみ など

「一般型」と「介護型」がある

サービス付き高齢者向け住宅には、「一般型」と「介護型」の2種類があります。

一般型
  • 自立した高齢者の入居を想定しているため、要介護度が上がると退去しなければならない可能性がある
  • 介護が必要になった場合は、外部のサービスを個別に契約する
介護型
  • 要介護度が高い方でも入居できる
  • 施設で提供している介護サービスを利用できる

「介護型」は「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたところを指していて、食事や入浴介助など、介護・看護サービスが受けられるため、介護度が高くなった場合でも安心して暮らせますが、サ高住のうち「介護型」の割合は約8.9%と少ないのが現状です。

参考:一般社団法人高齢者住宅協会  サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析(令和4年8月末時点)(PDF)

どんな人が入居できるのか

サービス付き高齢者向け住宅では、60歳以上の高齢者または、年齢60歳未満で要介護認定を受けている方を入居対象としています

高齢者単身はもちろん、夫婦世帯などでの入居が可能なサ高住もあります。同居人の対象者は以下のいずれかに当てはまる方です。

  • 配偶者
  • 60歳以上の親族
  • 要介護か要支援の認定を受けている親族
  • 特別な理由により知事に認められた方

この他に、独自の入居条件を設けている施設もありますので、条件に当てはまるかどうかは検討している施設に確認が必要です。

サービス付き高齢者向け住宅の費用

入居を検討する際に気になる費用面について見ていきます。施設によって差はありますが、大まかには以下の通りです。

一般型 介護型
初期費用 0~数十万円 0~数十万円
月額費用 約5万~25万円(家賃・管理費) 約15万~40万円

費用には、初期費用として入居時に必要な敷金・家賃の前払い金と、毎月支払う月額利用料があります。月額費用としては、基本的に以下のものがかかります。

  • 家賃
  • 管理費
  • 食費
  • 光熱費・水道費
  • 介護サービス費
  • 生活支援サービス費

一般型サ高住の場合、表の月額費用に加え、食費や介護サービス費などは利用した分だけ別途かかります。介護型サ高住の場合は、すべての月額費用を含んだ目安金額を表記しています。

一般的なサ高住の家賃は、その土地の相場家賃より1~3万円ほど高いところが多い傾向ですが、部屋の広さ、設備によって差があります。中には高級志向の建物・サービスが揃っていたり、立地がいいところなどは、価格が一気に上がるケースもありますので、予算と相談してから探すといいでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅で提供されるサービス

サービス付き高齢者向け住宅では、具体的にどのようなサービスを受けることができるのでしょうか。必ず提供されるサービスと、必要に応じて追加で利用できるサービスがあります。

必ず提供されるサービス

状況把握(安否確認)サービス

施設の職員が定期的に居室を訪問し、体調や状態に変化はないか確認します。基本的には1日1回の確認をしているところが多い傾向です。

生活相談サービス

介護職員や看護師、ケアマネジャーなど、専門的な資格を持つ職員が、入居者の生活の相談に乗ります。あくまでも相談だけになりますので、その点ご注意ください。

必要に応じて受けられるサービス(別料金)

緊急時対応サービス

緊急時に施設の職員が駆けつけ、主治医や医療機関への往診依頼、救急車の要請、家族への連絡などをします。災害発生時に避難誘導のサポートや、入居者の安全確保などしてもらえるため安心です。

食事提供サービス

食事の提供や配膳、片付けなどです。カロリー計算が行われており、栄養バランスの整った食事を用意してもらえます。自室や共有スペースの台所で自炊をすることもできますので、必要な時だけ利用するのも良いでしょう。

日常生活支援サービス

掃除や洗濯、買い物代行・付き添い、通院の付き添いなど、日常生活のサポートを受けられます。

介護サービス

「一般型」の場合、訪問介護事業所やデイサービスが併設されている、外部の事業所と提携していることが多く、利用するサービスを自由に選択できます。「介護型」の場合、サ高住から介護保険サービスを受けられます。

医療サービス

施設に併設されている医療機関や、提携医療機関の訪問診療や訪問看護サービスを受けます。

サービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリット

サービス付き高齢者向け住宅に入居する際のメリット・デメリットを挙げました。

【メリット】

  • 要介護認定を受けていない自立している方でも入居できる
  • 生活の自由度が高い
  • 夫婦での入居もできる(サ高住により)
  • 見守りサービスがあるため安心して生活ができる
  • バリアフリー構造なので生活しやすい
  • 施設数が多く入居しやすく、合った施設を探せる

【デメリット】

  • 一般的な賃貸住宅より費用が高い
  • 夜間はスタッフが常駐していない施設がある
  • 入居時は自立していても、その後要介護度が高くなった際に転居せざる負えないケースがある

「一般型」の場合、自立している方でも入居できるため、一人暮らしに不安がある方が、職員の見守りを受けながら安心して生活することができます。外出や入浴の時間など、他の介護施設と比べて比較的自由ですので、その人らしい生活を維持しやすいのが魅力です。

その分、一般的な賃貸住宅に比べると費用が高い、施設によって職員の人員配置は異なるなどのデメリットもあるため、それらをよく考慮して入居を検討することが大切です。

実際に入居するまでの流れ

サービス付き高齢者向け住宅への入居を検討されている方が、実際に入居するまでの流れの一例を説明します。

①資料請求 気になる施設の資料請求をし、サービス内容や入居条件、部屋の広さ、費用などを確認し、希望に合う施設を見つけます。
②見学 資料では分からない、施設の雰囲気・設備などを実際に目で見て確認し、疑問点は職員に質問しましょう。
③体験入居 体験入居ができる施設もあります。見学時に確認し、可能であれば体験することをおすすめします。
④契約・入居 契約し入居します。

サービス付き高齢者向け住宅は、必要に応じて外部のサービスを受けることができるため、今は介護は必要ないけれど、今後の生活が不安な方におすすめの施設といえます。

最近では、認知症対応型や看取り対応したサービス付き高齢者向け住宅も増えてきてはいますが、認知症が進行し他の入居者とのトラブルが生じたり、要介護度が高くなり医療行為が必要になったりした際には、退去しなければならない場合もあります。将来は他の介護施設へ移り住むのかなど、長期的に今後の生活をイメージしながら、これからの住まいについて考えていきましょう。

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