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国産の補聴器メーカー、リオン株式会社の「リオネット補聴器」

更新日:2023/07/01

リオン株式会社は70年以上にわたって国産補聴器をつくり続けています。この度はその長い歴史の中でどのように社会貢献をしてきたのか、実際の商品紹介と併せてお話を伺いました。

この記事はこんな方にオススメです。

・聞こえに不安を感じ始めた方
・自分に適した補聴器を探している方
・スポーツや趣味などの活動をいつまでも楽しみたい方

■本記事の取材先

リオン株式会社

理学・音響学の研究を行う小林理学研究所(現一般財団法人)の研究成果を製品化し世に役立てることを目的に1944年(昭和19年)、東京都国分寺市に設立。「人へ、社会へ、世界へ貢献する」を企業理念に掲げ、世の役に立つ快適な生活の実現をテーマとして企業活動を行っています。現在は、医療と環境と産業の分野で、補聴器、医用検査機器、音響・振動計測器、微粒子計測器という4製品群を軸とした事業展開をしています。

御社のこれまでの歩みについて教えてください。

リオン株式会社は、理学・音響学の研究を行う小林理学研究所(現一般財団法人)の研究成果を製品化し、世に役立てることを目的に1944年に設立されました。当初は音響機器の部品などを主に製造していたのですが、医療・福祉の分野でより多くの人に貢献できるのではないかと考え、1948年に日本で初めてとなる量産型の補聴器製造を開始しました。国産であることに強いこだわりを持ち、高温多湿である日本の風土や日本人の生活スタイルに寄り添った、丈夫で安全な商品開発に力を入れています。

まだ「補聴器」という言葉が馴染みのなかった時代に製造を開始しましたので、弊社には長い歴史があります。現在ではある一定以上の聴力レベルに達すると身体障害者手帳の交付を受けることができ、補聴器購入代金の一部が公費によって負担されるようになっていますが、このような制度が制定される歴史と共に弊社の補聴器、『リオネット補聴器』も歩んでまいりました。

御社の理念や特徴を教えてください。

「人へ、社会へ、世界へ貢献する」ことを企業理念に掲げ、日本の福祉制度の一端を担ってきた歴史があります。また国内生産により、ご注文いただいたオーダーメイド補聴器の納期が早いことや、日本全国に取扱専門店を多く抱えています。中には、医療機器の修理業の資格保持者が在籍する、店頭修理対応が可能な専門店もあります。

 自分に合った補聴器の選び方を教えてください。

ご家族と円滑に会話ができるようになりたい。テレビの音をしっかり聞きとりたい。仕事での聞こえの不安を解消したい。趣味やスポーツを楽しみたい。ひとくちに聞こえが悪いといっても、その悩みは人によって様々だと思います。そこで、弊社では補聴器を検討されている方がどのような生活スタイルを送っているのか、日常のどのようなシーンで不安を感じていらっしゃるのか、そういったお客様へのヒアリングを丁寧に行ない、一人ひとりに適した補聴器をご提案しています。

お客様の耳の型に合わせたオーダーメイド補聴器

 

中でも、オーダーメイド補聴器は一人ひとりの耳の型を採取し、ひとつずつ製造するため、耳から外れにくく、使用中に耳の痛みを感じることも少なく、安心してご利用いただけます。

どんな種類の補聴器を取り扱っていますか?

補聴器の種類は大きく分けて、耳の穴に収まる「耳あな型」、耳の後ろにかける「耳かけ型」、胸ポケットや鞄等に入れてご使用いただく「ポケット型」、そのほかメガネ型などいくつか特殊な補聴器がありますが、多くの方にご利用いただいているのは「耳あな型」タイプになります。

 

 

   耳あな型

耳かけ型

ポケット型

「耳あな型」の補聴器が選ばれている理由について、どのようにお考えですか?

「耳あな型」を選ばれるお客様が多いのは、近年のマスク生活の影響が多分にあるのだと思います。マスクの紐と干渉しない補聴器をお探しの方は多くいらっしゃいますし、近年のワイヤレスイヤホンの普及が追い風となり、耳あなに収まるタイプの補聴器は年々増えている傾向にあります。耳あな型補聴器は小さい反面、電池の取り扱いが難しかったり、紛失の不安もあるかと思いますが、弊社の補聴器は電池のプラス・マイナスをどちらの向きに入れても作動する「おまかせ回路」機能や、補聴器とスマートフォンを連携させることで、紛失の際に補聴器のおおよその位置を確認することが出来るなど、時代と共に技術も進化し続けています。

開発の際、どのようなことに力を入れていますか?

以前は補聴器といえばベージュ色のものがほとんどで、いかに目立たないようにするかが重要視されてきましたが、これもワイヤレスイヤホンの普及に伴い、人々の認識が変わりつつあると思います。耳に電子機器を着けることへの抵抗感は薄れ、珍しいことでも恥ずかしいことでもなくなってきていますので、お客様には形状や色を選んでいただけるよう、デザイン性にも力を入れています。

利用者や読者へメッセージをお願いします。

音がよく聞こえるようになることはもちろんですが、周りに存在している環境音に再度気がつき、生活を豊かにするような補聴器を提供していきたいと考えています。そして、着けていることを忘れてしまうくらい補聴器が身体の一部となり、呼吸と同じように無意識に機能するような、そんな存在になれたら幸いです。

■編集後記

例えば、眼鏡をかけることはごく自然なことであり、機能性はもちろんのことそのデザイン性が大切にされていますが、補聴器にも同様のことが言えるのだと改めて教えていただきました。そして普段はあまり意識しないことですが、日常は実に様々な「音」で溢れかえっています。それを聴きとることでどれだけ生活に立体感が生まれていることでしょう。聴覚を介した世界との交流。こう言ってしまうと少々大袈裟ですが、豊かな生活を支えてくれるリオンさんの補聴器を、ぜひ多くの方に試していただきたいと思いました。

執筆者:リブライフ編集部