介護老人保健施設(老健)とはどんな施設?わかりやすく説明します。
更新日:2023/08/17
介護老人保健施設とはどのような施設で、入所できる対象者はどんな人か。メリット・デメリットや費用、サービス内容などをわかりやすく説明します。
この記事はこんな方にオススメです。
・介護老人保健施設の利用を検討されている方
・在宅復帰を目指している方
目次
介護老人保健施設とは?
介護老人保健施設(老健)とは、利用者の在宅復帰を支援する介護保険施設です。骨折や脳梗塞などで入院していた人が、直接自宅や福祉施設に退院するのではなく、介護老人保健施設にて適切なリハビリテーションを受け、スムーズに元の生活の場に戻ることができるように過ごします。医療体制が充実しているのが特徴で、医師や看護師、理学療法士、作業療法士、介護職員などのチームでサポートしてもらえるのが魅力です。
しかし、在宅復帰を目的とした施設のため、入所期間は3~6ヶ月ほどに限定されることが多く、施設による審査が行われ在宅復帰可能と判断された場合は、退所しなくてはなりません。
似た名称の施設に、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)があります。違いについて比較してみました。
介護老人保健施設 | 特別養護老人ホーム | |
主な目的 | 在宅復帰を目指す | 身体介護・生活援助を受けながら居住する |
サービス内容 | 医療ケアとリハビリが中心 | 身体介護を中心とした自立支援 |
入所条件 | 要介護1~5 | 原則要介護3~5 |
入所期間 | 原則3ヶ月 | 終身利用可能 |
入所のしやすさ | 特養と比べると入所しやすい | 数ヶ月~数年待つ場合がある |
費用 | 月額8~15万円程度 | 月額8万~14万円程度 |
どちらも介護保険法で定められた公的施設ですので、有料老人ホームなど民間の事業者が運営する施設と比べ、比較的料金が安いのが特徴です。施設の特徴を理解した上で、入所する施設を決めていきましょう。
どんな人が入所できるのか?
介護老人保健施設に入所できる主な条件は、以下の方です。
- 65歳以上の方
- 要介護1以上の認定を受けている方
- リハビリや医療ケアが必要な方
その他の条件として、特定疾病により要介護認定を受けている40~64歳の方でも入所可能な場合があります。
しかし、入所して医療ケアやリハビリなどのサービスを受け、在宅復帰が可能であると判断された場合には退所を促されるため、ずっと入所することはできません。退所後は自宅での生活に戻る方や、長期入居可能な施設へ移る方などがいます。
介護老人保健施設のサービス内容
介護老人保健施設で利用できるサービスについて説明します。
リハビリテーション | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門スタッフが常駐しており、利用者に合わせたリハビリを個別プログラムで受けられます。 |
医療・看護 | 1人以上の医師が常勤し、看護師の数は特養より多く配置されています。インスリン注射や経管栄養、たん吸引などに対応している施設も多く、医療ケアが必要な方も安心して入所できます。 |
身体介護 | 食事・入浴・排せつ・更衣など利用者に合わせた介護が受けられます。 |
生活支援 | 居室の清掃や、シーツ交換などが行われます。衣類の洗濯は家族が持ち帰る、外部業者を利用するなどします。 |
食事の提供 | 定員100人以上の老健には、栄養士を1人以上配置することが定められており、その場合、栄養やカロリーが整った食事、嚥下能力に合わせた食事が提供されています。 |
リハビリだけでなく、医療・看護体制、介護や栄養管理なども整っており、幅広いサービスを受けることができます。「退院後、安心して生活できる環境で、自宅での生活に戻れるようにリハビリを頑張りたい」という方に適したサービス内容だといえます。
介護老人保健施設のメリットとデメリット
介護老人保健施設に入所する際のメリット・デメリットを挙げてみました。
【メリット】
- リハビリテーションが充実している
- 在宅復帰を目指せる
- 医療体制が手厚い
- 民間施設より費用が抑えられる
- 要介護1以上から入所できる
【デメリット】
- 入居期間が限定される(3~6ヶ月ほど)
- 多床室ではプライバシーが守られにくい
- レクリエーションやイベント、生活支援サービスがあまり充実していない
介護老人保健施設は、利用者の在宅復帰を目指して様々なスタッフが連携しているため、手厚いリハビリサービスや医療ケアが受けられます。しかし、長期入所ができなかったり、買い物代行・洗濯などの生活支援サービスやレクリエーションなどが充実していなかったりとデメリットもあるため、それらをよく考慮して、利用者本人や家族のニーズに合った選択をすることが大切です。
実際に利用するまでの流れ
介護老人保健施設への入所を検討されている方が、実際に入居するまでの流れの一例を説明します。
①要介護認定を受ける | まだ要介護認定を受けていない方は、お住まいの市区町村の担当窓口に要介護認定申請書を提出する。 |
②入所申し込み | 希望する施設を見つけ、直接入所申し込みをする。入院中の場合は医療ソーシャルワーカー、在宅介護の場合はケアマネジャーに相談して進めましょう。 |
③面談 | 施設担当者と利用者・家族と面談を行い、利用者の要介護度や心身の状態、医療ケアの必要度や生活状況などを確認する。 |
④書類提出 | 面談後、施設利用申込書、診療情報提供書または健康診断書などの必要書類を提出する。 |
⑤入所判定 | 面談内容や提出書類を基に施設側が入所判定を行う。 |
⑥契約し入所する | 入所可能の判定が出たら契約し、入所日を調整する。 |
施設によって入所基準・条件は異なりますし、特養と比べると早く入所できるとはいえ、申し込みから入所まである程度の期間は必要です。早めに情報収集や見学をし、施設の雰囲気が合うか、在宅復帰率はどのくらいかなどを確認し、利用者や家族が求めるサービスを受けられる環境か見極めて申し込みをしていきましょう。
また、入所期間が3~6ヶ月ほどと短いため、入所を検討している段階や入所中から、退所後の計画を立てておくことをお勧めします。自宅に戻りデイサービスや訪問介護を利用するのか、グループホームや有料老人ホームなどの施設に入居するのかなど、しっかりと話し合い決めておくことが大切です。