介護が必要になった原因ランキング~第1位は「認知症」~
更新日:2023/08/22
要介護になる原因には、どのような疾患・病気があるのか。厚生労働省の国民生活基礎調査をもとに、原因疾患について記事にしました。高齢者本人やご家族が、介護への備え、介護予防について、今できることは何なのか考えられるような内容になっています。
この記事はこんな方にオススメです。
・自分自身、家族の介護に備えたい方
・介護予防について知りたい方
目次
要介護になった原因
厚生労働省の調査によると、介護が必要になった主な原因は以下のようになっています。
1位:認知症 18.1%
2位:脳血管疾患(脳卒中) 15.0%
3位:高齢による衰弱 13.3%
4位:骨折・転倒 13.0%
出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和元年)
男女では以下のように差があります。
男性 |
女性 |
|||
1位 | 脳血管疾患(脳卒中) | 24.5% | 認知症 | 19.9% |
2位 | 認知症 | 14.4% | 骨折・転倒 | 16.5% |
3位 | 高齢による衰弱 | 11.3% | 高齢による衰弱 | 14.3% |
突然介護が必要となる可能性がある脳血管疾患、比較的緩やかに病気が進行していく認知症、それぞれの病気について知り、介護に備えていきましょう。
認知症とは?
認知症とは、脳の機能障害により、認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態をいいます。認知機能とは、情報の記憶・蓄積・選別や言葉のやりとり、理解・計算・注意などをする機能です。
認知症の症状には、病気の進行に伴って段階的に現れる中核症状と、それに付随して起こる行動・心理症状(BPSD)があります。
【中核症状】
記憶障害 | 最近の出来事を忘れやすくなり、進行すると楽しかった記憶(エピソード記憶)をも忘れてしまうようになります。 |
見当識障害 | 時間や場所を認識する力が低下し、帰る家が分からなくなったり、昼夜の区別がつかなくなったりします。 |
理解力・判断力障害 | 言葉の意味を理解できなくなる、身のまわりの状況からどのように行動すべきか判断できなくなります。 |
失行・失認 | 衣服の着脱・複雑な動作ができなくなったり、鏡に映った自分の認識、音の認知や触れているものの認識ができなくなったりします。 |
【行動・心理症状(BPSD)】
心理症状 | 不安や焦燥感(イライラ)、抑うつ状態、幻覚や妄想、睡眠障害などが現れます。 |
行動症状 | 徘徊、異食、失禁、攻撃的な言動などが現れます。 |
認知症の場合、少しずつ症状が進行し、できないことが増えていき、介護が必要になっていきます。これらの症状について理解した上で、認知症になった人がその人らしくあり続けられるようケアしていくことが大切です。
脳血管疾患とは?
脳血管疾患とは、以下のような脳の血流不全によって起こる疾患の総称で、一般的な用語で脳卒中ともいいます。
- 血管がふさがって起こる脳梗塞
- 脳内血管が破れて出血する脳出血
- 脳外で出血するくも膜下出血
- 硬膜とくも膜の間に出血する硬膜下血腫
これらの脳血管疾患は、片麻痺・感情失禁・失語・見当識障害などの後遺症が残ることも多くあり、寝たきりになることもあります。よって、今まで元気だった高齢者に突然介護が必要になり、本人や家族が心構えできていない状態で介護生活が始まることも少なくありません。
介護への備え
認知症、高齢による衰弱は、比較的緩やかに症状が進行するため、時間をかけて介護に向き合っていけるかもしれませんが、脳血管疾患、骨折・転倒では、元気だった高齢者がいきなり要介護状態になることがあります。
いざ介護が必要になった時に、少しでも焦りや不安を感じないためには、日頃から介護に備えておくことが大切です。予め家族で介護について話し合い、以下の項目などの意向を確認しておきましょう。
- 誰が介護するのか(家族、介護士)
- 介護者となった場合、仕事を続けられるか
- 在宅生活を続けるか、施設に入居するか
- 介護費用はどうするか など
また、要介護にならないためには、予防に取り組むことも重要です。
- 適度な運動をする
運動することで筋力低下による転倒予防になりますし、脳が刺激されて認知機能が向上するため、認知症予防につながります。
- バランスの良い食事をする
高血圧や糖尿病は、脳血管疾患の発症リスクを高めます。脂質や食塩の取り過ぎには気を付けましょう。また、女性に多い骨粗鬆症は、転倒時の骨折にもつながるため、カルシウム、ビタミンDを摂取して骨量を保ちましょう。
- 過度な飲酒・喫煙を避ける
タバコに含まれる有害物質は、血管を収縮させ血圧を上げますし、過度な飲酒も動脈硬化を引き起こし、脳血管疾患のリスクが高まります。
- 他人とコミュニケーションをとる
他人と交流し、趣味の活動などを行うことで、脳を刺激し心も豊かになります。外出する機会も増え、引きこもりを防止できます。
高齢になっても介護を必要とせず、自分らしく暮らし続けられるように介護予防を意識してみてはいかがでしょうか。また、介護が必要になってしまっても、本人や家族が焦ることのないよう、今のうちから家族でしっかり話し合っておきましょう。